新着情報

江戸小紋について

「自分サイスの着物をつくろうかしら」
「ちょっとしたお出かけにも使えるような一枚ってなにかしら」
とまわりの人やお店の方に相談すると、かなりの確率で勧められるのが江戸小紋(えどこもん)という染めの着物です。

「1枚もっておくと便利よ」
と言われるような江戸小紋という着物はどんな着物なのでしょう。

 

江戸小紋の特徴:遠目に見ると無地のように見える、非常に細かい柄の小紋

img_3277 img_3278

着物の格としては、カジュアルな分類に入る「小紋」でありながら、カジュアルシーンはもちろん、お茶席、ちょっとした会合など、紋を付けることで「略礼装=ちょっと改まった場所」にも着ていける着物です。

その理由は、もともと、江戸時代に武士の裃(かみしも)に使われていた柄として発展してきたからです。
裃は当時の武士にとってのフォーマルウェア。
それだけに かっちりと着こなすにはもってこいの 洋服でいうところのスーツのようなポジションにある着物です。

遠目に見ると一見無地に見える江戸小紋は、きっちり感は欲しいけれど、派手にしたいわけではない、というシーンにぴったりなのです。
最近では、自宅で洗えるタイプの江戸小紋もあり、雨対策や汚れの心配をせず気軽に着られるこれらの洗える江戸小紋は、お天気を選べない行事や式で着る時にとても便利です。

 

江戸小紋の特徴:各藩独自の柄があり、中でも代表的な柄が「江戸小紋三役」

江戸小紋は、もともと武士が裃に使っていたので、家紋をつけて着用していました。さらに、各藩で職人に独自の柄を作らせ、お家専用の模様と定め、他者がそれらを使用することを禁じた歴史があります。これら、各藩独自の柄を「定め小紋」「留柄」といい、徳川将軍家の「御召十」や紀州徳川家の「極鮫」などがあります。そして、それらの中でも、「鮫」「通し」「行儀」の3つの柄は、江戸小紋を代表する柄で、特に格調高い柄とされています。これらを「江戸小紋三役」といいます。

・・・丸く弧を描いたように扇状の模様を並べ、鮫肌のように見える柄

o0152009913211780973

通し・・・縦、横にまっすぐ並んだ柄

o0152010213211780994

行儀・・・斜めに並んだ柄

o0195015313211780987

背中に1つ紋を入れると、略礼装として、フォーマルな席にも着用可能な柄です。
三役の柄なら、おめでたい席はもちろんのこと、鮮やかな色や暖色系の色は不向きですが、寒色系で地味な色であれば、不祝儀の席にも着られます。

 

江戸小紋の特徴:カジュアルなシーンに着用する「いわれ小紋」

これとは別に、江戸中期以降、定め小紋を着ることが許されない庶民の間で

定め小紋にはない日用品や動植物や文字をモチーフとした柄が作られ広まりました。
これらを「いわれ小紋」

といい、その柄の数は膨大です。ある1件の染め元さんだけでも、これまでに染めた柄は4000柄以上と言われているところもあります。

img_3276

大根とおろし金で「大根おろし」に見立てている柄や、よく見るとびっしりと「家内安全」と染められているものなど、ユニークなものが溢れています。
これらはもともと町人が遊びで作っているものなので、同じ江戸小紋でも「江戸小紋三役」とは違い、
紋を入れることもなく、着用シーンもあくまでカジュアルなシーンです。

 

江戸小紋の特徴:色はグレーがかったくすんだ色が主流、一色染めが基本

江戸小紋というと、「グレーがかった渋い色味が多い」というイメージがつきものですが、それは江戸時代に幾度となく発令された奢侈禁止令が影響しています。
奢侈禁止令では、贅沢を禁止し、庶民に対して、藍、鼠、茶以外の派手な色の着用を禁止していました。
そんな中、「かまわぬの色」として許された茶と鼠に様々な色を入れることで微妙な色合いの違う新しい色を作り出していったのです。
今では、これら伝統的な色合いだけでなく、色鮮やかな江戸小紋も作られています。

 

このように、江戸小紋は武士のフォーマルウェアからはじまり、
その歴史の中で、遠目で見ると無地のようにみえる、非常に細かい柄の染め物として発展してきました。
江戸小紋は、

柄や紋の有無、合わせる帯でコーディネートを変えることによって、お子様の七五三や学校行事、ビジネスシーンや、お茶会だけでなく、
気軽なお出かけなどのカジュアルシーンから、結婚式などのフォーマルな場面まで、幅広く対応できる着物です。
このような理由から「1枚持っておくと便利」と言われるのです。